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AK4493 を動かす

DSD-A4490、B3D-A4490 で採用した旭化成エレクトロニクス(AKM)の AK4490 のアップグレード品となる AK4493 が18年の1月に販売が開始されました。

これらのデバイスの主な仕様は表1のようになっています。特に注目したいのがプレミアム DAC のフラグシップである AK4497 と同じプレミアムオーディオ専用 LSI プロセスを採用していることそしてなにより DSD512 をサポートしたということです。

これまで AK449x シリーズでは DSD512 をサポートしていたのは AK4497 のみでしたのでこの DAC に対する期待は大きいです。

また、データシートを見るとこれらの仕様以外でレジスタの内容に追加があるようで実際に動かして確認する必要があります。

ak4493_spec.jpg(25197 byte)

チップの外観は以下です。

ak4493.jpg(20840 byte)

AKM の文字が大きくなっているような。

では早速に動かしてみます。AK4490EQ とパッケージもピン配置も同じですのでB3D-A4490 基板に載せ替えます。そしてちょっとしたリワークをします。

リワークは内部 LDO レギュレーターを有効にするために 14番ピンの LDOE を3.3Vに接続します。ピン間隔が 0.5mm なのでちょっと苦労しましたが何とか上手くできたようです。

ak4493-01.jpg(66813 byte)

動作確認

AK4493 の内部レジスタの設定値は AK4490 の設定値でよさそうなのでひとまず動作確認をしてみました。192kHz 24bit の flac フォーマットと DSD64、DSDD128 フォーマットで問題なく再生ができました。取り合えず動くのを確認しただけですが大きな可能性を感じます。今後いろいろ確認をしていきましょう。

2018年3月30日追記

いろいろ確認しようとして再生、停止、頭出し等をしていたら突然音が出なくなりました。初めは MPD クライアントやネットワークの問題を疑いましたが基板を AK4490 基板に交換すると問題なく音が出るのでやはり今回の AK4493 基板に問題があることは間違いないのです。そうなると一番疑わしいのは AK4493 の LDOE ピンのはんだ付けになります。しかし1番ピンの DVDD には1.8V が出力していますので問題ないはずです。念のために再度付け直しをして DVDD の出力が出ているのを確認して試みましたがやはり音が出ません。

電源のシーケンスについては DVDD を外から供給する場合には制約があるのですが、今回は内部の LDO レギュレーターを有効にしていますのでその制約もありません。他の電源電圧についても再度確認しましたが当然ですが問題がありません。

このようにハードウェアの問題ではないとすると AK4493 のレジスタ設定に問題があるのかと考えることになります。いくつか設定変更を試みましたが状況は変わりません。

IC が壊れることはまずない(壊れるような使い方はしていない)と思っていたこともあり、また QFP パッケージということもあるので一番やりたくなかったのですが他にやることはなくなったとの思いで AK4493 の交換をしました。すると音が出ました。:-(
滅多なことでは壊れないはずの IC が何故壊れたのだろうと思いながらも気を取り直して動作確認を続けました。

ところが、ところがです。また突然音が出なくなったのです。今回も再生中に曲の頭出しをした時でした。やっぱり交換した AK4493 は壊れてなかったんだなと思う一方、途方に暮れるしかありません。

こうなったら初心に戻ってデータシートを最初から見直してみましょうって、あれっ?入力ピンの内部プルアップ、プルダウンの有無が AK4490 と異なっているところがありました。例えば AK4490 では 14番ピンの I2C mode select pin が内部プルダウンとなっていたのが無くなっています。同様のピンについて修正して正常に再生するようになりました。AK4493 は AK4490 とピン互換、レジスタ互換ということで LDO 関連以外のピンについてはよく確認していなかったのです。思い込みはいけません。:-(

DSD512 の再生

DSD512 が再生できることを確認します。確認には-3dB の 1kHz を30秒のファイルを作成して行いました。

AK4493 の DSD sampling speed control レジスタ DSDSEL[1:0] bits を "11" に変更して再生させ特に問題なく再生できましたが、この状態で DSD256、DSD128、DSD64 と確認すると DSD128、DSD64 の再生がうまくいきません。AK4490 での設定値 "10" にすれば DSD512 以外は正常に再生できます。

DSD と PCM の切り替えは FPGA でハード的に行っていますが、AK4493 は新たに自動切換えモードがあります。この機能を試してみたのですが自動切換えにすると切り替え時のノイズが発生します。モード切り替えを判定するまでの時間を変更することもできるのですが、特に時間を変更して変化することはありませんでした。

まだまた確認することはありそうですね。

AK4493 の音

AK4493 の音ですが、とても良いです。PCM の音は AK4490 というより AK4495SEQ に近いような気がします。DSD については AK4490 とはまた違う音質です。筆者はこの AK4493 の音が好ましいですね。AK4497 と同じプロセスによる違いなのでしょうか。今回は AK4490 基板に載せ替えただけですが専用に設計するとどうなるかとても期待が持てます。

このページは2018年3月11日にはじめてアップされました。

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