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AK4490 基板の製作

前回 WM8741 で DSD ネイティブ再生のための基板を試作しました。サンプリング周波数を自動的に切り替える回路も設計し新たな WM8741 基板を製作も考えましたが、以前に入手していた旭化成エレクトロニクスの 32 bit DAC AK4490 を試してみたくなりこちらを優先して試作しました。

旭化成エレクトロニクスのより新しいデバイスとしては AK4495 がありますが、まずは AK4490 を試してみて評判どおりなのが確認できたらその次として AK4495 を考えてみたいと思います。さらに、今年1月にフラグシップとなる AK4497 が発表されています。こちらも楽しみです。

AK4490 基板としては既にいくつかの素晴らしい自作基板がリリースされています。EMISUKE さんの EM-DAC 4490T Ver1 や、やなさんの AK4490S 基板などですね。やなさんの AK4490S 基板は現在頒布終了になっているようです。

基板の構成

基本的には BBB(G) + Botic + ブリッジ基板での動作を想定した構成になります。

AK4490 はパラレルモードとシリアルモードがあります。WM8741 でいうところのハードウェア・モードとソフトウェア・モードですね。WM8741 ではハードウェア・モードで PCM と DSD の両方に対応していますが、AK4490 はパラレルモードでは PCM のみの対応となり、PCM と DSD の両方に対応するにはシリアルモードで AK4490 のレジスタを設定する必要があります。AK4490 のレジスタの設定にはマイコンを使うのが普通だと思いますが、レジスタ設定のインターフェースには I2C だけではなく比較的単純な3線式でのインターフェースが可能なので3線式を採用してハードウェア(FPGA)で行うことにしました。そしてレジスタの設定回路は DAC 基板と別にしてアイソレーションすることにします。

ak4490-03.jpg(36078 byte)

AK4490 DAC 基板への電源は外部から供給することになります。電源としては±12Vと+5Vになりターミナルブロックで接続します。今回の試作基板の確認用の電源を探していたところ Mi-Take さんの「DC-DC コンバータ基板 ±12V +5V 3出力タイプ」というのを見つけたのでヤフオクで購入したものを使っています。仕様も +12V/300mA、-12V/200mA、+5V/200mA とちょうど良いものです。

基板の寸法ですが、BBB(G) のサイズに合わせました。穴位置も一緒にしたのでスペーサを使えばスタックすることもできます、多分。

動作確認

今回試作した基板がこれです。左がレジスタコントロール&アイソレーション基板で右が AK4490 DAC 基板です。

ak4490-01.jpg(83022 byte)

コネクタの穴径を間違えてしまって基板に挿入できません。なのでコネクタが基板に浮いた状態で半田付けしています。orz

まずは AK4490 DAC 基板単体でパラレルモードでの確認です。パラレルモードで PCM の各サンプリング周波数での再生は問題ないようです。確認したサンプリング周波数は以下です。

次はレジスタコントロール&アイソレーション基板との接続でのパラレルモードでの確認です、とコネクタに接続したらレジスタコントロール&アイソレーション基板と BBB ブリッジ基板との接続コネクタ(40ピンのピンソケット)の位置がずれていました。orz

こちらも基本動作には問題ないようです。DAC 基板のアイソレーションもOKです。

シリアルモードの動作確認になります。こちらは当初 FPGA のプログラミングに問題がありアナログ出力しませんでした。レジスタの設定のタイミング等は問題なかったのですがデジタル・アッテネータ回路に不具合があったのです。FPGA を修正して出力が出るようになりました、ひとまず安堵です。

PCM モード、DSD モードそして PCM/DSD の切換えとも問題ないようです。DSD モードは WM8741 では 64fs までの対応ですが AK4490 は 128fs、256fs まで対応しています。

こんな感じで確認しています。

ak4490-02.jpg(76507 byte)

これまではステレオ・モードでの基本的な動作のみの確認をしました。今後、モノ・モードをそしてさらに詳しく確認することになります。

モノ・モードの確認

モノ・モードの確認ですがまんまと罠?にはまりました。

2014/11 版データシートのレジスタ設定「Control 3 Register」の項目を参照してレジスタを設定したのですがどうも L チャネルと R チャネルが逆になってしまいます。

回路に間違いがあるのか回路図を何度も見比べたのですが間違いが見つかりません。そもそもステレオモードでは問題がないので回路図が違っていることは無い筈です。もしやと思いデータシートの設定を疑って逆の設定をすると正しく出力されます。念のために AK4495 の2014/05 版データシートをみるとレジスタの設定値が AK4490 のデータシートのそれと異なっています。どうも AK4490 のデータシートが間違っているようです。

とやれやれと思っているとデータシートの「モノラル出力機能(PCM,DSD,Ex DF I/F」という項目に以下の様に記述されていました。

はじめからこちらを参照しておけば悩むことはなかったですね。

モノ・モード時には AK4490 DAC チップの L チャネル R チャネル出力を差動出力することにします。よって最終的に各チャネルの出力を得るには基板から出力される信号を差動アンプで受けることになります。

頒布

このページで紹介した基板をもとに多少の変更(基板を黒に変更、DAC のローパスフィルタの抵抗・コンデンサのチップ部品化等)したものをこちらで頒布開始しました。寄ってみてください。

このページは2016年2月19日にはじめてアップされました。

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